齋藤 孝|頭の良い人がやっている「調べ方」究極のコツの著者、内容、感想

知恵

ネットやスマホ、SNSの普及で情報を手に入れることがとても手軽になった一方で、情報が多いからこそ、気づけば調べていたことと違うことを見ていたりしませんか。SNSで話題になっていることを鵜呑みにして拡散したら、事実と違ってヒヤッとすることも。効率的に自分の知りたいことにたどり着き、多々ある情報から正しい事実にたどり着く「調べる力」を身に着けたいあなたへおすすめの一冊です。

 

『頭の良い人がやっている「調べ方」究極のコツ!』とは

『頭の良い人がやっている「調べ方」究極のコツ!|仕事も人生もうまくいく!大人の探究学習』とは、『声に出して読みたい日本語』、『質問力』、NHK・Eテレ『にほんごであそぼ』などで有名な齋藤 孝さんが、スマホやSNSの普及により情報であふれるこの時代に情報に振り回されず、正しい事実にたどり着くための、「調べる力」を身に着けるためのコツを書かれた本です。213ページ。2022年8月に株式会社学研プラスから初版発行。

 

『頭の良い人がやっている「調べ方」究極のコツ!』の著者

齋藤 孝(さいとう たかし)

1960年静岡県生まれ。
明治大学文学部教授。東京大学法学部卒業。同大学院博士課程を経て現職。
『身体感覚を取り戻す』(NHK出版)で新潮学芸賞受賞。
『声に出して読みたい日本語』(草思社)は毎日出版文化賞特別賞、2002年新語・流行語大賞トップテン、シリーズ累計260万部のベストセラーを記録して日本語ブームが起こった。
NHK・Eテレ『にほんごであそぼ』では総合指導を務める。

 

『頭の良い人がやっている「調べ方」究極のコツ!』の内容と感想

はじめに これからの時代、頼りになるのは「調べる力」!

新型コロナの蔓延、ロシアのウクライナ侵攻など、世界情勢は日々刻々と変化し、私たちの生活もその変化と無縁ではいられないこの時代。状況の変化に応じて何をすべきかを自分で考え、実行する必要があります。

その時に必要なのが、

P1
「今、本当に起こっていることは何なのか?」を知ることです。
正しい情報を調べて、考える。

そのための「調べる力」とは、

P4
自分で課題を設定し、仮説を立て、それが正しいかどうかを調べて検証し、商品の企画や業務の改善に生かしていく_
そういった新しい知の基本技能
(中略)
探究学習を通じて「調べる力」が身につけば、情報を見聞きしたときに、事実と意見をきちんと区別し、正しい事実に基づいて判断できるようになります。

 

また、SNSを通じて自ら発信する機会が増えた今、発信前に常にデータを調べることが、リスクから身を守ることにもつながります。

では、この「調べる力」はどうすれば身につくのか気になりますよね。

齋藤さんは、「大人の探求学習」を通じて身に着けることができると言っています。

第1章「調べる力」があれば仕事も人生も上手くいく!

そもそも、なぜ「調べる力」があれば上手くいくのでしょう。

ビジネスの場で「エビデンスある?」の言葉が頻繁に使われ、誰でもすぐにスマホで検索することができるにも関わらず、意外なほどみんな調べていない現状があるそうです。

p23
自分で調べた正しい情報を発信することを習慣づければ、信用が積み重なります

人を説得するときに、自分の意見に正しい根拠があれば説得力があがります。

逆に、自分が発した情報が間違っていれば、せっかく信じてくれた人に迷惑をかけてしまいます

人から信用してもらう上で、正しい情報を得るために「調べる力」が大切なことが分かりますね。

プロバイダ責任制限法の改正をご存じですか。
SNSでの誹謗中傷を受け女子プロレスラーの方が自殺されるというセンセーショナルな事件の後、プロバイダ責任制限法の改正が急がれるとニュースで話題になっていました。
この改正は無事に成立し、自分が何気なく発したことで誰かを傷つければ、訴えられる機会は以前よりも増しています。曖昧な根拠で情報を発信した人はもちろん、鵜呑みにして拡散した人も責任が問われます。

発信前に調べないとリスクを抱える現代では、リスクヘッジの観点からも「調べる力」を身に着ける必要があります。

「調べる力」を付けるには「大人の探求学習」と先ほどのべましたが、
齋藤さんが言われているその方法を私なりにまとめてみました。

◆「本当にそうなの?」という疑問違和感、「〇〇だったらなぁ」という願望妄想を持ったら、とりあえず調べてみる

◆自分の間違いに気づいたら、すぐに調べて訂正する

「事実」と「意見」を分ける習慣を身につける

◆できる限り一次情報に遡る

それぞれの詳しいやり方を知りたい方は、ぜひ本書を手に取っていただきたいと思います。

第2章「データ」を読みこなせる人になろう!

第1章で調べる力を身に着け、欲しいデータを手に入れたとき、次に必要になるのは、データを読みこみ使いこなす方法ですよね。

そのうち、私が興味を持ったものを紹介します。

 

 

数字を使う
例:前年比○○%増、「人は○○が9割」、「○○する33のルール」

データを料理する
データのどこを選択して拡大するか、その工夫こそが腕の見せどころ

信頼度の高い組織のデータを使用する
公官庁>シンクタンク、新聞社>実態のよくわからない会社、匿名の個人

◆統計は「変化率」に注目する

 

 

日本の所得格差が拡大しているときいて、どう思いますか。私はなんとなくそんな感じがするなと思っているのですが、個人の感覚で感想は変わってきますよね。

データとしては、2019年の国民平均所得金額が552万3000円。この時の中央値(データの数値を並べていったときにちょうど真ん中にくる数値)は438万円。100万円以上の差があります。データをもとに感覚と事実の照合を行うと、偏見やズレのない思考ができるようになると齋藤さんは伝えています。

第3章 「検索力」を鍛えてデキる人になろう!

この章では現代の情報化社会においてきわめて重要な調べ方である「検索力」にスポットがあてられています。

齋藤さんは検索力アップのコツを6つ紹介されていますが、そのうち私がポイントだと思った3つをご紹介します。

検索の合言葉は「今すぐ」

「3つのワード」で検索

最低3つ、できれば5つのサイトを検索してチェック

 

P67
ちょっとした手間を惜しまずに検索するだけで、間違った情報による間違った議論を防ぐだけでなく、その後の議論の参考になる材料が提示できて、有意義な時間をもてるのです。こういた仕事のやり方を続ければ、あなたの評価も上がることでしょう。

 

相手が欲しがる情報を正しく提示できれば評価があがるのはなにもビジネスの世界だけではありませんよね。

 

第4章 調べ方を変えれば「ビジネス」で結果を出せる!

この章ではビジネスにおける「調べ方」が 書かれています。

p88
仕事ができる人は例外なく、データに基づいて仕事を進めます。データを活用すれば、前提を間違わずに意思決定ができ、無駄な努力を回避できるのです。

このように、多くの仕事は上司や顧客の要望を調査し、そのデータに基づき進められますが、その調査を行う前に大切なことが紹介されています。

上司・顧客の意図をハッキリさせる

選択肢を提示し、具体的に掘り下げながら聞く

 

また、意思決定に迷う場面では「当事者」にアンケートすることで役立つ情報を集めることができます。

齋藤さんのアンケート調査時の注意点が面白かったのでご紹介します。

”5段階アンケートをとるときには「非常に良い」=良い、良い=普通、普通=悪いと肝に銘じましょう。”というものです。

アンケートだけでなく、対面で質問をするというのも効果的なのですが、その時に大切なポイントは以下の三つです。

具体的な選択肢を提示して聞く

最低限のことを調べた上で質問する

ギブアンドテイクで情報を集める

 

 

第5章 調べたことはアウトプット

p113
「調べる→活用する」がセットになると、
情報を集める際の目的意識がハッキリしてくるため、適切な情報とは何かが明快になりますし、「活用できた」ことの達成感から、もっと有意義な情報を調べようと意欲もわいてきます。この好循環が成立すれば、調べ方の技術は確実にアップするというわけです。

まずは情報を得たら人に話してみましょう!

 

またアウトプットの際のポイントも紹介されています。

◆調べた内容はA4一枚で見せる

◆アウトプットのフォーマットを叩き込む

◆資料のデザイン性を意識する

◆伝えたい情報に最も適したグラフの選び方

「ベスト3方式」で調べた情報をランキングする

日付と出典を明記するクセをつけよう

「数字+意見」で文章を構成する
など

第6章 もっと「調べる力」を付ける!

この章では「調べる力」をもっとレベルアップさせる方法が紹介されています。

いくつか紹介しますね。

自分の情報はオープンにシェアする
(情報は与える人に返ってくる性質がある)

◆大事な情報を教えてもらうときは感謝の気持ちを伝える

◆情報をもらったら、すぐに実践してみる

体験者の「生の声」を集める

新聞・図書館・入門書(図解本)・親書・三色ボールペン(赤:客観的に最重要、青:客観的にまあ大事、緑:主観として「面白い」)を活用する

 

 

第7章 達人たちの「調べる」エピソード

この章では、司馬遼太郎やナイティンゲールなど10名の調べる達人たちのエピソードが紹介されています。

 

 

まとめ

この本を読んで、「調べる力」を向上させる方法、情報を発信する際のポイントを学ぶことができました。

調べ物をする機会が多いあなた

情報を発信する機会が多いあなた

職場や身近な人からの信頼を得たいあなた

情報に振り回されない生活をしたいあなた

 あなたにこの本をおすすめします。

 

 

著者の他の本

  • 「質問力」(筑摩書房)
  • 「雑談力が上がる話し方」(ダイヤモンド社)
  • 「大人の語彙力ノート」(SBクリエイティブ)

 

お読みくださり、ありがとうございます。
元公務員▶専業主婦▶二児の母
整理収納アドバイザー2級・クリンネスト2級を取得
“心地えぇなと思える暮らしに役立つ知恵をここに”をテーマにブログを運営しています。

 

 

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