笠井奈津子『何もしない習慣』の作者・内容・感想

くらし

食習慣、運動習慣、心地よい毎日のために、新しい習慣を始めようとしていませんか。
始めたいけど、時間がない、続けられない、自分で決めたことなのに苦しい、疲れたとなりがち。
私たちに必要なものは「なにもしない」習慣かもしれません。

『何もしない習慣』とは

『何もしない習慣|The Habit of Doing Nothing』

栄養士/健康経営アドバイザーである笠井奈津子(かさいなつこ)さんによる254ページにわたる無意識のうちに「なにか」をしすぎている現代人に対して「なにもしない」習慣を提案する本です。

2021年9月発行
発行所 株式会社KADOKAWA
 

『何もしない習慣』の著者

笠井奈津子(かさいなつこ)

1979年、東京都に生まれ。
栄養士になり、心療内科クリニック併設の研究所で食事カウンセリングを経験。
フリーランスに転身後、食の大切さを伝えるための様々な活動をはじめる。1児の母。
現在は、栄養士とスリップストリームのプロデューサーを兼ねる。

  • 健康経営アドバイザー
  • 栄養士
  • (一財)生涯学習開発財団 認定コーチ
  • アクティブスリープ指導士
  • 生活リズムアドバイザー
  • 幼児食インストラクター

『何もしない習慣』の内容と感想

はじめに

P12
しっかり「休む」ことを意識できれば、健康はもちろんのこと、仕事や家事のパフォーマンスが上がり、大切な人との人間関係も良好になります。

毎日、家事に育児に追われ、自分にかまう暇もなく一日が終わっていく。
かと思えば、隙間時間があればネット検索やSNSをチェックしては、あれが欲しい、ああしたい、こうしたいが増えていく。
気づけばスマホ画面を見続けて、深夜になり、うまく眠れず、疲れた体で朝を迎える。
いつも抜けない疲れと闘いながら、ぱっと目についた情報に影響されて、食生活を見直さないと、運動しないと、あれしなきゃ、これしなきゃで身動きがとれなくなる毎日。
そんな中、「何もしない習慣」という本に自然と手がのびました。

序章 みんな誰もが疲れている時代

現代人はみな疲れている。疲れていることがデフォルトになりすぎて、疲れていることに気づいていない。昨日何を食べましたかと聞かれても思い出せないように、意外と自分自身に意識が向いていないと笠井さんは述べています。確かに、今日が何月何日かすらわからず、生理がいつ来るかもよくわからない。朝は家族を送り出し、家事に追われ、昼はとりあえずテレビをつけて昨日の残りを食べ、あっという間に子供がかえってきて、また、家事育児に追われ、なにもしないまま毎日を私は過ごしてしまっていると感じていました。
こんな私の「なにもしない」と本書のいう「なにもしない」は違います。

本書の中の「なにもしない」とは、

P4.5
毎日の生活のなかにあえて意識的につくり出す「休む」時間であり、自分と向き合う時間と考えます。
そうすることで、体に悪い行動や悪習慣を断ち切り、時間の使い方を見つめ直して、より前向きに自分の生活にかかわっていく姿勢をつくることを目指します。
中略
なにもしない」とは、いわば能動的に休むこと。受け身のまま、無自覚のうちに疲れをためないように、休むことで心身を回復させ、本来自分が持つエネルギーを取り戻し、新しい人生を切り拓いていくことなのです。

 

第1章 つかれたから休むのではなく、疲れないように休む

この章では日常生活にひそむ「し過ぎ」をやめて、日常に「なにもしない」時間をつくる具体的な方法が紹介されています。

現代人は疲れている、気づいていない人も多いと指摘する笠井さん。
自分が疲れているか気になりませんか?
簡単に疲れているかチェックする方法も紹介されています。それはズバリ、、
朝、元気に目覚めているかどうか。

どうもすっきりしないと感じている方に向けた自分だけの回復のトリセツの作り方もこの本を読めばわかります。
ざっくりいうと、一日のタイムスケジュールを書き出し、自分の「充電」つまり回復に繋がる行動と「消費」つまり自分の疲れに繋がる行動を把握し、見直していくのです。
 
仕事・家事・人付き合い消費
 ↕↕↕ このバランスが重要!!
睡眠・食事・自分のための時間充電
習慣というと始めたらとまってはいけないように感じますが、執着「し過ぎ」も疲れの原因。自分に合わないものは手放しましょう。‶限界が分かるのは大人のたしなみ”本書にあるこの言葉は私のお気に入りです。
ついついながら食べをしている人におすすめの、食事そのものに意識を向ける方法も手軽に始められて効果がありそうだったので、紹介します。
 
食事瞑想
1.「いただきます」と手を合わせ、目の前の料理をゆっくり観察
2.口に入れたら箸をおく。
3.目をつむり、香りと味わいに意識を向ける
4.1口につき、30回噛む。
この食事瞑想ですが、私は別のダイエット本で2,4をよく見かけるので、疲れなくするだけでなく自然とダイエットにも効果がありそうです。
 
他にも、自分の充電方法をリスト化したり、食事内容のチェックの仕方や見直す方法など、充電と消費のバランスを調整するためのワークが用意されています。
 

第2章 休むことを「習慣」にする

「休む」ことで得られるメリット疲れない食習慣について書かれています。

休むことで得られる10のいいこと
1.回復する
2.ミスが減る
3.リフレッシュできる
4.長期的視点で戦略を立てられる
5.自分の変化に敏感になる
6.頭がすっきりする
7.人にやさしくなれる
8.自分を最大限活かせる
9.安心感を得られる
10.太りにくくなる

こんないいことづくめなら、休まない手はないですよね。
けど忙しくて…と言い始めたあなた、まず休む予定を押さえましょう!!
いつもダイエットの「し過ぎ」で苦しんでいたという笠井さん。
しっかり休めて自然とダイエットになる食習慣を教えてくれています。
知りたいですか?では、

食べすぎない
夜遅くに食べない

普通。知ってる。けど、しっかり自分に向き合って考えると意外と出来ていないものですよね。
この本の中では、知っててできない理想の食習慣を実現するための方法も書かれていますよ。気になる方は本書をぜひ購入して確かめてください。

笠井さんの考え方で気に入っているものがあります。

あなたは、食事や情報といった自ら摂取したものや、見ているもので作られます。
楽しいごはんがいいごはん食が変えるのはあなたの未来。

これ、同じことを2022年12月20日放送の星野源のオールナイトニッポンで、ゲスト出演された、料理研究家・土井善晴先生も言われていました。この回はすべての日本人に聞いてほしい神回だと思います。

第3章 ワーク・ライフ・ブレンド時代に「完全に休む」睡眠を手に入れる

 この章では、産業医・精神科医で睡眠カウンセリングも行う穂積桜(ほづみさくら)さんとの対談が掲載されています。
 コロナ禍でリモートワークが増えたりと、ますます仕事、家事、育児がすべてブレンドする時代において、家族の心身の健康のために投資する重要性が語られています。
対談されているお二人が女性ということもあり、特に母親の疲れにフォーカスされているので、母親の方はささるものがありますので、必見です。
 医師という視点から、心身の健康のための「睡眠」を最優先で取り入れてほしいそうです。
 良質な睡眠のためには自分が朝型か夜型かといった遺伝や生活環境で決まるタイプ「クロノタイプ」を知ることが重要となっており、この本にはクロノタイプ判定シートがついています。ちなみに私は中間型でした。

 

第4章 なにもしない習慣の続け方

習慣の続け方のステップが紹介されています。

1.事前準備 科学的エビデンスよりも「私的エビデンス」
       自分が「これが心地いい」と感じるものに正直になる姿勢を持つ


2.環境設定 「なにもしない」ために効率化する
        得意ではないタスクは人に任せて、得意なことを引き受ける。
       「し過ぎ」をやめる。


3.習慣化  習慣だけが与えてくれる安心感
       習慣は「続けている自分」に安心感をあたえる
       習慣になるまで、全体としてみつつ、出来そうな点から調整していく
       繰り返しと積み重ね


4.習慣のチェック 悪習慣とセットになった行動を探す
          習慣がほかの充電を奪っていないか


5.継続  ログで自分の変化に気づく

自分を未来を変えるには習慣の力を使うのが一番というのを実感している今日この頃です。

便利家電やルーティンアプリのような便利なものの活用などで、自分時間を整理して本当にやりたいことに時間を使いたいですよね。

第5章 上手に休めば人生はうまくいく

改めて「なにもしない」習慣のメリットが紹介されています。

  • 貢献できることが増える
  • まわりに迷惑をかけない
  • 快適さと満足度(幸福感)が増す
  • 理想の生活に近づく
  • 未来が変わる
  • 他の人を考えることに繋がる
  • 大切なものをもっと大切にできるようになる

 

おわりに

 一人一人が自分の心地いを重視して作る異なるトリセツを、それぞれが尊重し合える、豊かな社会へなっていくことを笠井さんは望まれています。

まとめ

  • 心地よい暮らしがしたいあなた
  • 毎日疲れているあなた
  • 最近休んでいないと感じるあなた
  • ダイエットに悩むあなた
  • ゆっくり休むことに罪悪感を感じるあなた
  • 自分で決めた習慣が苦しい、続かないとお悩みのあなた
  • 人にやさしくする余裕が欲しいあなた

あなたにこの本をおすすめします。

この本は私の人生を変えてくれました。おすすめの一冊です。

 

著者のほかの本

『10年後も見た目が変わらない食べ方のルール』(PHP新書)

『甘い物は脳に悪い』(幻冬舎)

『子どもの「できない」を「できる」にかえる子育て食事セラピー』(河出書房)

『メグルカラダ』(講談社)

 

お読みくださり、ありがとうございます。
元公務員▶専業主婦▶二児の母
整理収納アドバイザー2級・クリンネスト2級
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