高田律子『さよならの流儀』の作者・内容・感想

くらし

「さよなら」といえば辛く悲しいものと思っていませんか。
この本を読めば新しい「さよなら」の形に出会えます。

『さよならの流儀』とは

『さよならの流儀|銀座のママが実践する「人・物・食・欲」を迷いなく捨てる方法』

銀座の高級クラブのママ高田律子(たかだりつこ)さんが、これまでの経験から得た「人・物・食・欲」と気持ちよくさよならする方法を教えてくれる本です。

2022年9月発行
発行所 株式会社かざひの文庫
 

『さよならの流儀』の著者

高田律子(たかだりつこ)

  • 東京都生まれ。
  • 会社員時代を経て、水商売の道へ進む。
  • 銀座でナンバーワンホステスを経験。
  • 1994年に高級クラブ「昴」をオープン。オーナーママとなる。
  • カラオケも楽しめるカジュアルなクラブ「ハングオーバー」と美容院「セットサロンRyu」も経営。

『さよならの流儀』の内容と感想

はじめに

P5
限られたスペースの中に、あれもこれもとため込んでしまうと、本当に大切にしたいものの順番が狂ってしまい、とても疲れてしまいます。うまくコントロールして、「さよなら」していかないといけません。

 

心地よい空間を作るために断捨離をする…といった話をよく見かけるのですが、心地よい人生の秘訣は「さよなら」にあるのではないかということを気づかせてくれる本でした。

第1章 人とのさよなら|さよならは終わりではなく新たなスタート

夜の銀座のお客様の様々な理由での別れ、お世話になってきたお店のママからの旅立ち、自分が育ててきたお店の子たちの旅立ち、不倫相手との別れなど、多くの人たちとの「さよなら」を経験してきた高田さんだからこその、人との別れの経験談。

その人との別れを恐れるとき、高田さんは次のように考えるそうです。

p16
ですから私は、さよならが怖くなったらまずは「自分」に立ち戻ってみる。心の矢印を自分に向けてみれば、見えていなかったものが見え始め、進む道を選択していけるようになり、ラクになれるのです。
 
また、たとえどんな人とどんな別れかたをしようとも、その人の出会い、そこから得られた経験に感謝する姿が印象的でした。
 
p58
たとえ文句を言いたくなるような相手だとしても、限りがあることが分かれば感謝できる部分も少しは見えてくるもの。
 

第2章 物・食とのさよなら|日々の小さな習慣が人生の質を高めてくれる

P61
「捨てる」というより役目を全うしてくれたことに感謝して手放す。

 

捨てることに罪悪感を抱いている人にぜひ読んで頂きたいと思いました。

ただ要らないから捨てるというのではうまく活用しきれなかった自分にフォーカスしてしまいがちなところを、モノが果たしてくれた役割に感謝をして捨てることができれば、確かに気持ちよくモノとお別れできそうです。

モノや食べ物にもねぎらいの気持ちがあれば無駄にせず、最後まで使い切りたいと思うもの。
高田さんは「役割の提供」と「労い」はセットとお考えの持ち主。

紙袋や牛乳パックなどの捨てるものにも別の使い道はないかなと考えて、ごみ袋やまな板として活用しきってから、感謝してすてるそうです。ただ、ものに活躍してくれてありがとうとおもうだけでなく、役立てる場所を作ってあげるというところ、ぜひ見習いたいです。

第3章 ペットとのさよなら|見守る存在から見守ってくれる存在に

小さい頃からとご縁のある高田さん。

これまで出会ってきた猫たちとの別れを通じて、“動物たちのさよならには「感謝」があること”を感じたそうです。

愛猫「駿」くんの最期を看取った経験から、ペット(家族)の死を乗り越える考え方が記されていました。
気になる方はぜひ本書を手に取ってほしいと思います。

第4章 病気とのさよなら|昔の自分に戻るのではなく新しい自分になる

 食道がんを患い、食道と胃の一部を摘出したご経験された高田さん。
 自分の体の一部分とのさよならすら、軽やかに乗り越える様が記されています。
 もちろん大変な闘病生活であることは伺いしれるのですが、高田さんの考え方のフィルターを通すと軽やかに感じられるのが不思議です。
 復帰第一日目のお話は涙なくしては読めませんでした。

 

p171
ちょっと変わった考え方かもしれませんが、苦しんでいる自分を俯瞰してみると、これも人生のドラマの一部のような気がしてきます。ナルシストなのかもしれませんね。
P177
生き方をコントロールできる人間でありたい。コントロールとは、なるべく気持ちが楽しくなるように、ラクになるように、そして辛くならないように生きたいということです。そしてその方法の一つが「さよなら」だと思います。
 
 

第5章 欲とのさよなら|不要な感情を整理すれば人生はもっと楽しくなる

欲によって身上をつぶしていった人たちの特徴を高田さんはこのようにまとめてあります。

P182
①自分の身の丈に合わないもの
②自分の努力の末につかんだものではないもの
③おいしい儲け話
この3つに乗ると、どうもトラブルに巻き込まれやすいようです。
 
誰の中にでもある「欲」は、手に入れたいものは自分の努力で手に入れること、私利私欲ではなく誰かや社会のための欲求であるかという点にフォーカスするとうまくコントロールできるそうです。
 
確かに詐欺に引っかかってしまったり、虎の威を借りる狐だったり、様々な昔話しかり、失敗エピソードには上の三つがつきものです。
 
また、相手に「○○してほしい」と期待する欲のことを「精神欲」と高田さんはよばれていますが、
私は精神欲まみれで、家族など、だれかにあれをしてほしい、これをしてほしいと思っては、かなわないことにイライラを募らせてしまうことがあります。
 
そんな時に肝に銘じておきたい言葉があったので紹介します。
 
 
P203
要するに、精神欲を手放す方法は、イラっとしたら自分の気持ちを見つめて
「いったい何に怒っているの?」
「じゃあ自分はどうしたいの?」
と考えてみること。たったこれだけで、より早くイライラやモヤモヤの感情とさよならできます。面白いことに、こうして相手への欲求が1個減ると、相手のほうも気持ちがラクになるので、むしろ聞く耳を持ってくれるようになるのです。
 
P206
 自分を軸にして考えれば、必要以上にイライラしたり落胆したりすることを減らせるので、心に余裕が生まれます。すると相手もプレッシャーが減るので、同じく心に余裕が生まれます。
 こうしてできた心のスペースが、人を思いやる気持ちや、新たな発想に繋がっていくのです。
 
 この、自分がこうしたいという気持ちに立ち返り、どうにもならない相手ではなく、自分を見直すことで余裕を作るという発想は、夫婦関係、仕事関係、親子関係などなど様々な人間関係の悩みを解決するうえで非常に重要だと感じました。
 この本を読み進めていくと、高田さんは強い人だなぁとおもうことが多々あるのですが、高田さんはたくさんの心地よい「さよなら」を通じて自分を成長させていったことがその秘訣ではないかと感じました。
 
P212
こうして「悩み」=「課題」だと思って生きていると、昔は小さなことで悩んでいたけれど今はもうこのレベルのことでは悩まなくなったなと、自分の成長に気づくことができ、余裕すら生まれてきす。
 
P217
さよならを考えることは、今をどういきるかを考えることなのです。
 

おわりに

高田さんがお父様をなくされた時のエピソードがつづられています。
お互いに先に進むことができる「さよなら」をしたいと感じていらっしゃるようです。

まとめ

全体を通して、高田さんの言われる「さよなら」は卒業のときの「さよなら」に近いという印象をうけました。
卒業という終わりが見えているからこそ、学生生活を有意義なものとしたいと考える。
学生生活が楽しかろうが辛かろうが、何らかのものを得て、その生活を支えてくれた人たちに感謝しながら、新たな進路へとを進んでいく。

この本を読むと、いやなことも自分の糧とするしたたかな銀座のママが、いかに自分の人生というドラマの主役として周りに感謝しながら生きているのかということをうかがい知ることができました。

  • だれかとのさよならに悩むあなた
  • ものを捨てられないあなた
  • ペットや家族との別れから立ち直れないあなた
  • 病気で悩むあなた
  • 周りが思う通り動いてくれないと不満をもつあなた
  • 辛いことと向き合っているあなた

あなたにこの本をおすすめします。

 

著者のほかの本

「銀座ママ高田律子の人生哲学 出世する人、稼ぐ人、他人に気配りできる人」
「強い男・賢い女! 銀座流成功術77の条件!!」
「律子ママの人生心得」
お読みくださり、ありがとうございます。
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整理収納アドバイザー2級・クリンネスト2級
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